(27日、プロ野球 東北楽天ゴールデンイーグルス4―1千葉ロッテマリーンズ)
数えること実に、今季69打席目。スランプのどん底であえいできた楽天の主軸が、今季初の適時打を放った。
34歳の島内宏明だ。
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1点を追う八回、浅村の適時二塁打で追いつき、なおも1死二、三塁。外野フライでも良いという状況が、心理的に落ち着かせたのかもしれない。フルカウントからロッテ・沢村のスプリットをとらえると、前進守備をしく右翼手の頭上を越す2点三塁打となった。
2021年に打点王、22年に最多安打のタイトルを獲得したヒットメーカーも、昨季はけがもあって打率2割3分6厘と低迷。今季も調子が上向かず、ひとり苦しんできた。
この日の4打席目、14打席ぶりの安打が決勝打となった。「人生でちょっと緊張した試合でしたね」。たどたどしく、そんな本音を口にした。
「あんまり緊張しないんですけど、ここまで打てないと、ちょっと感じるものがあるので。1個、成長できたなと思います」
この日の試合前までの打率は1割7分9厘。規定打席には到達していない。それでも、今江監督は2試合続けて4番を任せてきた。
その期待にようやく応えた島内は言う。「打てなくても使ってもらって、自分もそこまでプラス思考になれない中での一打は経験したことがなかった」
明大時代のチームメートで、この日3安打と打ちまくった阿部は、島内の打撃技術の確かさを肌で知っている。期待も込めた賛辞を贈る。
「良いバッターなんで、すぐに(調子が)上がるんじゃないですか」
苦悩の先で、スランプから抜け出すきっかけにできるか。(笠井正基)
今季から先発に転向した楽天の内が7回1失点と力投して今季初勝利をつかんだ。犠飛も含め、フライアウトは16個。「武器である真っすぐをしっかり投げられていたので多くなったのかな」。1軍デビューを果たした昨季は中継ぎで53試合に登板し、経験を積んだ。3日前に誕生日を迎えた22歳は「試合を託されている部分があるので」と先発での初勝利を喜んだ。